札幌市|ピアノの椅子の高さと演奏との関係は?【音楽工房G.M.P】
2024/02/03
ピアノの演奏の良し悪しは椅子の高さにも関係があります
札幌市南区真駒内駅近く柏丘にある音楽教室(ピアノ教室、声楽教室)、音楽工房G.M.Pの大楽勝美です。
コンクールなどで必ずと言ってもいいほど、小さいお子さんの椅子の高さやペダルの設置等を頑張ってセッティングする保護者の方のお姿をお見かけします。背もたれ椅子を使用する時などは、「上から何番目」などと先生のご指示通りに合わせ、ピアノと椅子の距離もペダルの効き具合等も確かめられて、最後に弾く本人の「OKサイン」を得て、下手に戻るという、大変でしかも緊張されることと頭が下がります。しかもあんまりのんびりやると演奏時間にセッティングも含まれることが多いので、スムーズにやらなければいけないので、そのご苦労はほんとにお察しするところではあります。
話が少し脱線してしまいましたが、本日のテーマ「ピアノの椅子の高さと演奏との関係」について少々述べてみます。結論から申し上げると「ピアノの椅子の高さは、いいタッチで弾ければこだわらない」だということです。「いいタッチで弾ければ」がキーワードですが。
昔、僕が小さい時は横から見て、肘と鍵盤の角度が約90度、ほぼ直角になるように習った記憶がありますが、今となってはこれは違うことが分かりました。何故ならこの角度でピアノを弾くと、「肘の重さ」がほとんど使えないからです。使えない分だけ手や手首を硬くして上から鍵盤を押さえ込み、硬くて汚い音になってしまいがちになります。このことは、小さいお子さんから大人の方まで共通することです。
外人のピアニストで、よく上から押さえ込むように弾く人を見かけますが、そもそもタッチの基本がしっかりできていて体格も違うので、形だけ真似しないほうがいいかと思います。逆にホロヴィッツ、グレン・グールド、ポリーニなどといった名ピアニストはとても低いのです。往年の大ピアニスト、アルトゥール・シュナーベルは彼の著書の中でも「ピアノの椅子の高さは肘の高さが鍵盤の高さよりも低くする。そうすることによって特に和音の強さや音色のコントロールができる」と言っています。
もちろん和音だけではありませんが、肘の高さの重心を低目に取り、手首の高さや柔らかさとの相関関係でタッチを作っていくと、いい音が得られることは間違いがありません。
大きい音やクリアなタッチは指だけの強さに頼らないで、色々な部位から最終的に指に応援が行き渡るようにアプローチしていくと、クリアなテクニックといい音のいいとこ取りができるようになっていくのだと思います。そのために、椅子の高さはとても重要な役割を持っているのです。