ピアノの基礎練習って?
2024/09/05
ピアノの基礎練習でやることとは?
地下鉄真駒内駅近くの音楽教室(ピアノ教室、声楽教室)、音楽工房G.M.Pの大楽勝美です。怒涛のようなコンクール審査ラッシュもひと通り落ち着いて、しばらくぶりのブログです。
いつもコンクールなどの審査で感じることなのですが、それは小学校中学年くらいまでのお子さんと高学年との演奏内容のギャップです。高学年で高い演奏レベルでいい成績を取られる方は、普段から基礎練習をしっかりなさっているなぁという印象です。
どういう基礎練習かというと、タッチの強さのみならずタッチの種類の多さ、つまりノンレガートやレガート、レッジェーロなどのタッチを曲の中で見事に弾き分けられていることです。さらにそのタッチを音色感にうまく結びつけられるので、やはり高いレベルの演奏内容になる訳ですね。
小さい時はある程度テクニックの問題は、その方の音楽性で覆って曲を作ることは可能かと思いますが(もちろん基礎練習をしっかりなさっている方もいらっしゃいますが)、大きくなればなるほど基礎力の差が顕著にでてきます。では、どのような基礎練習が必要なのでしょうか?
私が小学生からの基礎トレーニングは、まず機械的なフィンガートレーニングから始め、スケール、アルペッジョをノンレガート、レガート、レッジェーロでそれを終えると3度、6度、オクターブ、トレモロ、音を出さず指変えの順番でやりました。もちろん片手ずつです。ここまでは約20〜30分です。
使用する楽譜はブラームス51の練習曲やリストのテクニカルエチュード、ベートーヴェンのパッセージ練習の断片など作曲家が作った音楽的じゃない作品を使いました。特にリストのテクニックに特化したエチュードは結構ハードで忍耐が必要ですが、効果満点でした。彼の作品を演奏する秘訣があると言っても過言ではないかもしれません。全曲制覇しようと思うと何十年もかかってしまうほどパターンが多いので、もちろんピックアップしましたが(笑)。
小さいお子さんの基礎トレーニングに使用する曲はもちろんハノンでもチェルニーでもケラーでも構わないと思うのですが、タッチや重音の練習などもアレンジしながら調性も弾きやすい調、弾きにくい調などに移調してやるのもいいと思います。1日15分くらいで充分かと思います。
しかしながらこれだけでの基礎練習はもちろん全てではありません。これらのテクニカルな練習を曲の中でどう見つけ、音楽的に活かしていくのかという、謂わば応用基礎練習に進みます。ここで大事になってくるのは、「楽譜の読み方」「演奏解釈」になるのです。
どんなに易しい曲でも難しい曲でもそれは存在します。指導する先生の腕の見せどころですね。
しかし間違わないでください。あくまでも作品の解釈が先行すべきで、プラスその人の個性、感性なのです。自己顕示優先、誰かのマネの演奏はいづれメッキがはがれます。基礎練習がしっかりされていればいるほど、演奏の世界が広がっていきます。
ピアノの基礎練習というのは、トレーニングとテクニックの種類の整理をコツコツ積み上げて行くことによって、曲中で応用され、ひいては作品全体の完成度も高めていくからです。