中身のある練習を目指しましょう
2023/08/29
そのピアノの練習、惰性になってませんか!?
札幌市南区真駒内柏丘にある音楽教室(ピアノ教室、声楽教室)、音楽工房G.M.Pの大楽勝美です。いつもブログをお読みいただき、誠にありがとうございます。
さて、楽譜の写真に書かれてあるような文字、レッスンのときに先生に書かれたことはありませんか?(笑)。まあ、練習をさぼらないように「一日五回」と書かれたと想像します。このぐらいの回数だとまだ優しい方だと思いますが、この練習方法は僕の小さい時からどうも使われていたようなのですが(僕自身は一回もやったことはありません)、50年以上経った今でも未だにこういう練習方法があるらしいんですね。おまけに、プラス、メトロノームも速度を指定して、メトロノーム通りに何十回も練習させると聞いたら、「はぁ?」って感じです。コンクールなどを受ける時が多いみたいなのですが、この練習の目的は何なのでしょう?
多分「間違わないで正確に」が最終目的なのでしょうが、そこに演奏表現、つまり中身がどのくらい詰まっているのかというと、はなはだ疑問に感じます。同じ気持ちでメトロノーム通り何十回も弾けるのでしょうか?それは我々だって無理です。教えてる先生だって多分無理でしょう。
そもそもになりますが、曲の解釈、短くても長くても「これだ!」と思う仕上げの最終形ができたら、それからどう練習を組み立てていくるのか、ということになります。その前に、最初から終わりまでメトロノームを使うことはやめましょう。メトロノームは、曲全体のテンポ確認や自分が気が付かない箇所、例えば自覚がなくて遅くなったり、滑ったりする箇所をチェックするために使うのです。
最近の特に小さいお子さんにあるのは、自分で拍子をとれない方が結構いらっしゃいます。これは、メトロノームに頼る「他力本願」で、メトロノームを外すと、自分で拍子をとれずに音だけを弾いてしまう悪い癖が自然についてしまう。あくまでもメトロノームは補助的に使うのが本来の使い方だと考えます。
話を元に戻しますが、曲の形が出来上がったらどうするのか、まずは2回続けて同じ演奏ができることです。ミスタッチも表現も、全く同じに演奏できたらそこで練習はいったん終了です。もし、ミスしたりした時は、まずその箇所を練習します。そして、もう一度1回目から弾きます。そして、1時間以上時間を空けてもう一回同じパターンで弾きます。最後に1時間以上また時間を空けて今度は1回だけ通します。それでできればもう大丈夫です。ただ同じパターンで弾けなければ、2回目にちょっとミスしたらカウントは1回目からです。
この練習方法は結構プレッシャーと集中力が必要ですが、時間はとりません。大ピアニストのリヒテルはこの練習方法をとっていました。「2回完璧に弾けれ1回弾くのは楽になる。」と言っていたそうです。何十回を惰性で3、4時間繰り返すよりも、5回を集中力で1、2時間ほど練習したほうが、はるかに効果があります。短い曲でも長い曲でもやり方は同じです。
本番は1回だけしかありません。気持ちの強さはこのような練習で得ることができると思います。「あんなに練習したのにコンクールではミスした」、「言う通り弾けたのに落ちた」とかよく聞きますが、それには必ず原因があります。メトロノーム信仰、回数信仰が過度になる、下手をすれば、本番に全く通用しないことがあるので、効果的な練習をされるとよろしいですね。