札幌市|何故、ピアノが嫌いになったり、やめてしまうのでしょうか?【音楽工房G.M.P】
2023/05/05
最初についたクセはなかなか治りません
札幌市南区真駒内にある音楽教室(ピアノ教室と声楽教室)、音楽工房G.M.Pの大楽勝美です。本日もブログをお読みいただき、誠にありがとうございます。
あと1ヶ月もすると、またコンクールの予選が始まりだしますね。今年もみなさん、目標に向かってすでに準備を始められていることと思います。
近年(と言ってもだいぶ前からですが)は、1年のレッスンがコンクール中心に回っている方もだいぶ多いのではないでしょうか?ピアノの上達はコンクールに参加することで得られると思っていらっしゃいませんか?
答えは半分だけYESです。確かにコンクールというのは、ご自分の力がどのくらいあるのか、どのくらい上達したかを知るとてもいい機会だと思います。だからといって毎年毎年受け続けていると、結局コンクールに振り回されてしまうことになり、結果だけを追い求めようになってしまいます。
小さい時はまだそれなりに何とかついて行ける方もいらっしゃいますが、小学校高学年、そして中学校と大きくなっていけば、勉強も忙しくなり塾に通い、シフトがそちらに時間が取られてしまい、それと同時にピアノの進歩も曲もだんだん難しくなり、時間もない⇒うまくならない⇒嫌いになって、結局やめてしまうというパターンに陥ってしまうという方が、結構多いのではないでしょうか。
ピアノが嫌いになってやめてしまうことは、今までのコンクールでの頑張りをも忘れてしまうほどのつらい思い出になってしまうかもしれません。もし、大きくなっても難しい曲を弾けたら、ピアノが嫌いになってやめてしまうことはないと思いますし、後年、またやりたいという気持ちになるかもしれません。でも何故、そういう流れになってしまうのでしょうか?
僕はコンクールを受けること自体は賛成です。自分自身も国際コンクールを経験しましたし、その意義は十分肌身で感じています。しかしながら、コンクール中心にレッスンを回していくと、曲をうまく弾くことだけに集中してしまい、やらなければならない大事なことが後回しになることが、ピアノ嫌いに繋がってしまうことがあるのです。ではそれは一体何なのでしょうか?それは「テクニックのク悪いクセ」なのです。
ピアノを弾く方はほとんど、弾く時のクセを持っています。このクセとは「悪いクセ」のことです。そのクセは小さい時はあまり自覚症状がなく、表には出てきませんが、だんだん曲の難易度が上がってくると邪魔をし始めます。そしてコンクールの曲だけで治ることとまずないと言っても過言ではないでしょう。もちろん、同時に練習曲やバッハなども気休め的に練習していても、悪いクセを取る練習を別メニューでやらなければなんにもなりません。
ついてしまった悪いクセが治るには、ピアノをやっている年数✕2くらいの期間が必要と言われています。ピアノを始めて1年だと、治すには2年という風に。
僕にもその経験があります。大学2年の時にテクニックの悪いクセを発見し、必死で1年間で治しました!。まともにいくと、28年かかる予定でしたが(笑)。その時はコンクールを受ける曲以外に、クセを治すために別メニューで3時間、1日10時間集中して練習した記憶があります。その後も未だに、悪いクセが再燃しないよう気をつけながら練習しています。
テクニックについた悪いクセを自覚して治すことはとても難しいことです。悪いクセというのはなかなか自分では気が付かないことが多いのですが、その時、頼りになるのはやはり先生です。先生がいち早くその方のテクニックの悪いクセを見抜き、修正をしないと、そのクセが固まってしまう恐れがあります。
コンクールで上位入賞される方は、実に自然で素直なテクニックで演奏されているように感じます。指導されている先生の指導の賜物だと思い、感心することもあります。
悪いクセを取り除くことは言うまでもなく、音の綺麗さ、演奏のスケールの大きさ、自信を持った表現力のある演奏などに繋がります。悪いクセを取りながら、それを少しでもコンクールの曲に活かせることができるようにならば、だんだん嫌いになるどころか、だんだん自身がついてきて楽しくなっていくことでしょう。
コンクールを受けるのであれば、その場だけの瞬間的な満足感を得るために何回も挑戦するばかりではなく、将来へつながるものであって欲しいですね。もちろん、小さいお子さんにとっては大きいトロフィーが欲しいこともモチベーションを上げるためには大事なことですが(笑)。