札幌市|ディミヌエンドも知るとおもしろいですよ【音楽工房G.M.P】
2023/04/25
作曲家独特の書き方を知ることも大切です
札幌市南区真駒内駅近くの音楽教室(ピアノ教室、声楽教室)、音楽工房G.M.P(ジーエムピー)の大楽勝美です。今回もブログをお読みいただき、ありがとうございます。前回は、クレッシェンドについて書きましたが今回は、ディミヌエンド(だんだん弱く)について少し述べてみます。
音楽はクレッシェンドばかりではありません。強くしっぱなしということはないわけで(曲が終わる時は別にして)、いつかは弱くしたり、だんだん弱くなっていくことがほとんどです。弱くなっていく時はほとんどの場合、フレーズの切れ目あるいはフレーズの終わりだったり、ちょっとした仕切り直しの部分だったりします。そこで気をつけたいのは、ディミヌエンドの度合い、つまり弱さだけなのか、+テンポも緩めるのか、もし緩めるのであればどのくらい緩めるのかを考えなくてはなりません。
もともとディミヌエンドはイタリア語のディミヌエーレの現在進行形で〈減少する〉、〈小さくする〉とか〈下がる〉といった生活用語です。例えば〈減少する〉といった意味では、重さが減少、つまり軽くなるとかエネルギーパワーが減ったりとか結構色々な意味があります。さて、音楽ではどうでしょう?
これは時代、作曲家によってその使われ方の違いがあるのです。例えば前回申し上げたベートーヴェン、dim.と書いてあってもまだそこは強いことは述べましたが、じゃあdim.の終わり方は?鉄則は絶対にゆっくりして終わらないことです。フレーズを弾き切ることがとても大切です。このことは古典派の作品全体に言えることですが。それが、その後のシューベルトやブラームス、ショパンなどのロマン派以降の作曲家の作品になると、記号にもそれぞれ作曲家固有の表現が出てくることが多く見られるようになっていきます。
例えばシューベルトです。彼のディミヌエンドは〈弱くしていく〉+〈遅くに〉の意味を持ちます。そして、ディミヌエンドと一緒の意味で使われ方をしているデクレッシェンドは、逆にテンポを遅くしないで弱くしていくことだけを表わします。(あるいは弱くもしないかも)。これはシューベルト独特の書き方です。
このように、ブラームスやシューマンなどの作曲家はそれぞれ固有の表現方法があるにも関わらず、楽譜ではどれもほとんど同じ書き方なので、ついつい我々は楽語辞典的な解釈で演奏してしまい、中にあるもっと深い意味を見落としてしまうことがあるのです。ディミヌエンドの表現は演奏にとってとても興味深く、研究する価値大有りだと思います。