札幌市|ピアノレッスンは正しい楽譜選びも大切です【音楽工房G.M.P】
2020/11/20
楽譜選びでも決まる、ピアノ演奏の上達
「レッスン教材(楽譜)はどれも一緒じゃないか?」と思っていらっしゃる方は結構多いのではないでしょうか?現代は、大変楽譜の種類も多く、ご自分がレッスンで使用する教材をどこの出版社のを買ったらいいのか、迷ってしまいます。しかしながら、「間違った楽譜選び」をしてしまうとその後の曲の仕上げ方が180度違ったことになってしまい、せっかくの演奏が台無しになってしまうということもしばしば見受けられて残念に感じることもあります。特に、コンクールや演奏会などで見受けられます。楽譜選び一つで曲の印象が変わってしまう怖さがあるのです。今回は「楽譜選びの基礎の基礎」について述べてみたいと思います。
★研究譜と演奏譜
楽譜には大別すると、作曲家が書いた楽譜を忠実に再現する「演奏譜」(原典版)、作曲家+校訂者の意向が反映されている「演奏譜」の二種類があります。例えば、バッハの研究譜には音しか書いてありません。小さなお子様にとってはこれでは練習のしようがありません。だから、色々な書き込みがある演奏譜を見て練習することになるわけです。そこで問題となるのは、そのバッハの曲を誰が校訂したのかということです。校訂者が誰かによってバッハの作品は正反対な演奏になってしまいます。バロック的にもなりますし、ベートーヴェン的にもなりますし、ロマンティックにも姿を変えられるのです。僕がが持っているバッハの楽譜は4種類ほどで、いつでも見比べることができ、演奏の方向性を定められます。ベートーヴェンのピアノソナタを出版しているヘンレ版という楽譜出版社は一番最後の段の終わりにアルファベットが入っています。これは、校訂された年代を古い順から表しています。現在は、どこまでのアルファベットなのかちょっとわかりませんが、僕の使ったベートーヴェンの楽譜は「D」の校訂ナンバーが入っています。6種類の楽譜を持っていますが、それぞれとても違いがあって興味深いです。
ただ、気をつけていただきたいのは、「指使い」においてはどの楽譜もあまりというか、ご自分の手に合った指使いだけを選ぶことが大切です。基本的に指使いは疑ってかかった方がいいかもしれませんね。それは、校訂した方の手の大きさが基本になっているからです。特に、外人の校訂者の手は大きいですから必ずしも日本人の手には合っていないことがよくあります。コンクールなどでも、ものすごい弾きづらい指使いで上手に弾けないことより、ご自分の手に合った指使いで上手に演奏した方がどんなにかストレスが軽減されることか。それに、指使いが違ったところで採点には全く影響しませんし。あくまでも「練習」という目的のために使われる指使いでしょうから、弾きにくければ、コンクールや発表会などという、目的が違うところでは難しい指使いは必要がないのです。
小さいお子様が使用するときの楽譜については現代の作曲家が多いので、どれを使っても大差がないかもしれませんが、バロック、古典派の教材を使う時は一応楽譜の見比べをする方が良いかもしれませんね。そのことはやはり、先生の責任に負うところが大きいのではないかと考えます。どの作曲家はどの楽譜出版社がいいというおおよその目安はありますが、ここでは長くなるのでいづれまたにします。