フジコ・ヘミングさん
2024/05/02
フジコ・ヘミングさんのご逝去の報を聞いて
札幌市南区真駒内柏丘の音楽教室(ピアノ教室、声楽教室)、音楽工房G.M.Pの大楽勝美です。当教室のブログ「ピアノピア〜ノ」をお読みいただき、ありがとうございます。
今日の朝、ピアニストのフジコ・ヘミングさんの訃報をニュースで聞き、驚きと悲しみでいっぱいです。。
2021年10月29日、札幌コンサートホールKitara大ホールで、フジコさんのリサイタルを聴かせていただき、その直後私のラジオ番組のためにお疲れのところをインタビューに快く応じていただきました。その様子はこのブログにも書きましたが、あれから2年半してお別れするとは全く想像していませんでした。
そして、不思議なことにご年齢が92歳、ご病名が膵臓癌ということでしたが、私の亡くなった父と病名と年齢が同じだったのでした。もちろん、偶然のこととは思いますが、私には何か感じるものがありました。
あの時お話を伺ったフジコさんのピアニスト、芸術家としてのポリシーはまさしく私が考える「ピアニスト像」にピッタリで、今でも私の指針にさせていただいています、。
彼女はよく「魂のピアニスト」と言われていますが、その魂とは何なのでしょうか?想像を絶するフジコさんの人生ヒストリーを聴衆が演奏を通じて感じるからでしょうか?
あのラ•カンパネラの鐘の音がまさしく私には彼女の「心音」に聴こえるのです。劇的な人生を送っているにもかかわらす、柔らかく包み込むような音色で弾くピアニストは私は今まで知りません。確かに技巧的には見事に弾けるピアニストは沢山いますが、フジコさんのようにあの鐘の音に人生を載せられるのはやはり、困難を乗り越えた後の「魂の浄化」があるからではないでしょうか?「ラ•カンパネラは毎日弾いているのよ」とおっしゃっていました。
そして何よりも音楽に対しての敬虔な姿勢や喜びが聴く人の心を打つんだと思います。フジコさんのようなピアニストは今の時代やこれからも出てこないような感じがします。ただ達者な自己顕示欲だけが強いピアニストはピアニストではないのです。
フジコ・ヘミングさんは、音楽の伝統の伝道者であり、「魂の演奏とはこういうものよ」ということを身を以て表現できる唯一の、まさに「巨匠」であったと思います。
フジコさんがインタビューの最後に「私は天国に行っても絶対ピアノ弾いてると思う。」とおっしゃっていました。
きっとまた、天国でもコンサートをして、魂の演奏を続けているんでしょうね。
謹んで御冥福をお祈りいたします。