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札幌市|スラーの線、読めるといいかも?【音楽工房G.M.P】

札幌市|スラーの線、読めるといいかも?【音楽工房G.M.P】

2022/05/11

スラーも結構奥が深いもんです

 

札幌市南区真駒内駅近くのピアノ教室、音楽工房G.M.Pの大楽勝美です。本日もブログをお読みいただき、ありがとうございます。

皆さんは、楽譜に頻繁に出てくる「スラー」をどうやって演奏したり教えていらっしゃいますか?まず、スラーと言ったら、レガート(滑らかに弾く)と思っておられる方が多いのではないかと思います。確かにそれは正しいところでもありますが、全てではありません。

実際にスラーのことでぶち当たるお悩みありませんか?スラー=レガートで滑らかに弾かなければならないと考えているので、逆にスラーの切れ目の音は「切らなければいけない」と思ってしまう。でも、切ったらぶつぶつ切れてしまい、滑らかさがなくなってしまう。。切ったらいいのか繋げてもいいのか、特に小さなお子さんが弾く8小節から16小節くらいの短い曲にもやたらと4小節単位でスラーがかけられていることがあります。5小節目に入る時は音を切った方がいいのか続けた方がいいのか、「息継ぎだからちょっと切ろうか」あたりに落ち着いてしまうくこと、ありますよね。

写真の曲はベートーヴェンのピアノソナタ第18番第3楽章の冒頭部分ですが、ここどうやって演奏すればいいでしょう?アウフタクトの部分から次の小節の間は切りますか、それとも?もっと進むと小節毎にスラーが切れてます。さすがに「こりゃあ、続けよう」と思うはずですが、あくまでも何となく変だなと気がつく曲だからいいようなもんで、他の曲には通用するかどうかわかりません。自信が持てる根拠が薄いからです。

そうなんです。このスラーの種類は「ボーイングスラー」といって、弦楽器の上げ弓、下げ弓を表しているんです。スラーの形、丸くて昔の弓の棒の形なのです。弓を返す時にいちいち音まで切りませんよね。ハイドンやモーツァルト、ベートーヴェンといった古典派の作曲家が作曲する時に、スラーは1小節以上は続けない決まりがあったからなんですね。

なので、何ら続けても問題ない訳です。しかもその決まり事をモーツァルトやベートーヴェンは「1小節の決まりなんて何のその〜」と、バンバン長いスラーを多用して破っていったのです。特にモーツァルトなどは、スラーがないところは軽くレッジェーロで歌う、それと反対に小節を長くまたぐスラーを「なめらかさ」だけでなく「表情をつけて、ものすごく!歌う」という表情をつけることにつなげました。レガートには元々「結ぶ」という意味ですから、音楽的には「音と音をつなげて滑らかに」という「レガートスラー」になります。

「ボーイングスラー」と「レガートスラー」、まずはこの基本的な二種類のスラーの見極めが大切で、このことは特に古典派の演奏解釈に始まり、ロマン派以降の作品、そして小さなお子さんの弾く小品までにも繋がっていくる重要な「線」となっていくのです。

 

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