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ライプツィヒから真駒内へ🎹

ライプツィヒから真駒内へ🎹

札幌市南区真駒内の音楽教室、音楽工房G・M・Pの大楽勝美です。

今日は、レッスンで使用しているピアノについてのブログを書いてみました。

ブリュートナーというピアノ

「ブリュートナーのピアノは本当に歌うことができ、そしてそれはピアノにとって最高の誉め言葉である」と書き残したのは、20世紀最高の指揮者ともいわれるフルトヴェングラーです。
 一般的にブリュートナーの音色は、温かく情緒的なロマンチックサウンドと言われています。丸く、明瞭さの伴った歌声のように伸びる音は、メロディラインをきれいにしっかりとなぞっていくことができるのです。また、高音部にアリコート(共鳴弦)といわれる打弦されない4本目の弦が張られています。この弦の特徴は、響きを豊かにするものです。ピアノの弦の太さは低い音域と中音域、高音域とそれぞれ弦の太さ、長さが違います。低音域の方が弦が長く太いので、響きが豊かに聴こえるんですね。よって、高音域の音量、音色は低音域とバランスをとろうとするとより音色がきつく、しかも響きも低音域の豊かさに負けてしまうことがよくあります。しかし、このブリュートナーはそのストレスがないどころか、一流の歌手の如く、素晴らしい「カンタービレ」を苦も無く作れるので、演奏のストレスがありません。

思えば遠くに来たもんだ

 ユリウス・ブリュートナーによって1853年、ドイツのライプツィヒで創業されました。そして、友人であったリストやワーグナーと、熱心に研究、改良に取り組んだと言われています。1台1台丁寧に製造されていました。アリコート弦の特許は1872年に取得しました。
 ところが、第二次世界大戦中の1943年には、工場が空襲で焼かれ材料となる木材もすべて焼き尽くされたと言われています。その後回復して製造を始められるには1948年まで待たなければいけなかったそうです。東ドイツ時代は国営化されてあまり良いピアノが作れなかったようですが、1990年の東西ドイツ統一をきっかけに経営権はまたブリュートナー一族に返還され、それからは順調にいっていると聞きました。
 真駒内のレッスン室にあるこのブリュートナーは、その戦火に巻き込まれる直前の1937年製セミコンサートグランドピアノです。1938年には飛行船(ヒンデンブルグ号?)に乗せるためにアルミ製の軽いグランドピアノが作られたそうですから、ギリギリセーフってところです!
 東ドイツ時代との区別は、ピアノの内蓋に刻印されている「Blütner」の文字が写真のように斜めになっているブリュートナーは、いわゆる創業当時からの質が良いピアノ、角ばっている文字のブリュートナーは材料不足で質が悪いブリュートナーと、しっかり区別されて製造されているんですね。
 ちなみに、ブリュートナーを愛用していたのは、イギリスのヴィクトリア女王、ブラームス、リスト、チャイコフスキー、ドビュッシー、フルトヴェングラー、ショスタコーヴィチなどスゴイ方々です。
 ビートルズの「レットイットビー」でポール・マッカトニーが弾いているのもブリュートナーです。また、フジ子・ヘミングさんもブリュートナーをお持ちだそうです。
 レッスン室のブリュートナーはライプツィヒ生まれで、直前はベルリンからここ真駒内柏丘にやってきたのですが、「君はどんな歴史を辿ってきたんだ?戦争中はどうしてたの?いやあ、よく来てくれたねえ。」なんてことを、時々想いながら練習しています。
 ブリュートナーさんはブリュートナーさんで、「思えば遠くに来たもんだなぁ。」なんて思っているのかもしれませんね笑)
 そのブリュートナーさん、今年で83才になります。
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